エヴァを降りて。
 まぁ当然だけれど、MAGIの誘導を外れたことに関して聞かれたりした。
 とはいっても本当の事を言うわけにもいかないんで。
 何とかしてごまかすしかなかったんだけれど。
 アスカはアスカで。
「カンよ。」
 の一点張りだったし。
 もっとも。
 今回は作戦が作戦だったっていうので、なんとか不問にしてもらえた。
 その後で、通信で父さんに誉められたりとか。
 そんなこともあったんだけど。
 今回は何も感じなかったな。
 前はうれしかったんだけどね。
 やっぱり、いまさらってことなんだろうな。

 そんなこんなで一段落ついて。
 僕はリツコさんに呼び出された。
 まぁ、命令違反したようなものだし、仕方ないなとは思ってたんだけど。
 なんでミサトさんじゃなくてリツコさんなんだろうとか。
 そんなことを思いながらリツコさんの研究室に向かった
 で、さすがにどういうことなんだろうって思っていると。
「そんなに怯えなくて良いわよ。別に何かしようってワケじゃないから。」
 って言いながらコーヒーをいれてくれた。
「ただ少し聞きたいことがあっただけなのよ。」
「どういうこと・・・ですか?」
「シンジ君がさっきの戦闘で張ったATフィールドのことよ。」
 ATフィールドって、何かおかしなことでもあったのかな?
 そう思ってるのが顔に出たのか、リツコさんはもう少し詳しく説明してくれた。
「あなたがあの時に張ったATフィールドは規模、強度共にこれまでで最大のものだったのよ。」
 そう・・・言われてもな・・・
「ピンと来ないって顔ね。」
「自分でどれ位のフィールドを張ったかなんて分かりませんから・・・」
「こちらからではフィールド内部のことを何も計測できかったわ。」
 ・・・そんなに?
「ほとんど結界と言えるわね。レイやアスカも中和しながらもぐりこむのがやっとだったわ。」
「あの時は強いフィールドを張るのに夢中で・・・」
「私が聞きたいのもそこなのよ。」
「どういうことですか?」
「一体どういうふうにフィールドを張ったのか。正直言ってATフィールドに関しては分からないことだらけよ。今までは、アスカが一番強力なATフィールドを張っていたわ。だからシンクロ率に関係があるのかとも思っていたけど。」
 今回の事を考えるとそうでもないかもってことか。
 とはいっても僕にしたって何がわかってるってわけでもない。
 ATフィールドを張るときにイメージしてることとか。
 そういったことを説明はしたけどさ。
 あんまり役には立たなかったんだろうな。
 まぁ、一通り話したらそれで解放されたんだけど。

 リツコさんに話をしている間。
 ひとつ思い出したことがある。
 それはカヲル君の言っていたこと。
『ATフィールド、君達リリンはそう呼んでるね?何人にも犯されざる聖なる領域・・・心の光、リリンも分かっているんだろう?ATフィールドは誰もが持って居る心の壁だと言う事を。』
 あの時は何もわからなかった。
 今でもわかってないのかもしれない。
 でも少しだけ思うことがある。
 サードインパクトの時に感じたこと。
 ATフィールドは他者を拒絶する心の壁なんじゃないかって。
 だから。
 僕が強力なATフィールドを張れたっていうのは。
 それだけまわりに壁を作っていて。
 まわりを拒絶している。
 そういうことなのかもしれないって。


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