例によって綾波だけが訓練で。
今日は1人でぼーっとすることになるかと思ったんだけど。
・・・そのはずだったんだけどねぇ。
「なにジト目で見てるのよ。」
「べつに。」
「なんか言いたそうな視線だったけど?」
軽くため息をついて。
「どうしてアスカがそんなとこに座ってるのさ?」
「たいした理由はないけど?」
しれっと返される。
「おかげで周りの視線がさぁ・・・」
昨日は綾波。
今日はアスカ。
いったいお前は何なんだって視線があたりから突き刺さってくる。
いや、気持ちはわかるし。
完全に綾波とアスカを二股かけてるようにしか見えないんだろうから。
それは仕方ないとも思うし。
最近慣れてもきてたんだけど。
今日のはちょっとねぇ。
「別にいいじゃない、見てるだけなんだから。」
「だからってさぁ。」
「いいかげん気にすんのはやめなさいよ。前から言ってるでしょ?」
アスカほど神経が太くないんだよ、僕は。
さすがに本人の前じゃいえないけど。
「アスカが僕のとこに来なければすむ話じゃないの?」
「退屈なのよ。」
「だからってさ・・・」
「ほかに行くとこもないし。」
「アスカならかまってくれる人はいっぱいいると思うんだけど?」
「あーいう連中には飽きたって言ったでしょ。」
・・・はぁ。
「それにアンタんとこにいればとりあえず近寄っては来ないし。」
「勝手だなぁ。」
「いいじゃない。ファーストがいる時には来ないようにしてるんだし。」
「そういう問題じゃないだろ・・・」
思いっきり脱力する。
けど。
あきらめるしかないってことはよく分かった。
結局アスカにも綾波にも振り回されっぱなしなんだろうか。
「そーいえばさぁ。」
昼休み。
なし崩し的に一緒に屋上で食事をすませて。
ぼーっとしてたらアスカが突然声をかけてきた。
「アンタってファーストのことどう思ってんの?」
「何回聞けば気がすむのさ?」
半ばあきれながらそう答える。
「今までに聞いた話を総合すると、アンタはファーストがなにやってようと問題なしってスタンスなのよねぇ?」
「問題ないって事はないんだけど・・・」
「そうなの?」
「気にはなるさ、当然。」
そこで肩をすくめて。
「けど、どうでもいい、そういうことだよ。」
「そこがよくわかんないのよねぇ。」
まぁ、それはそうかも。
「投げやりなのか、単にファーストにべたぼれなのかってことなんだけど。」
いきなり核心に来るな。
「・・・どっちかって言えば投げやり、のほうなんだろうけど。」
「そっちだったの?」
「べたぼれって訳じゃないからね。」
「てっきり好きなんだろうって思ってたんだけど。」
少し意外そうになって聞いてくる。
「違うよ?」
それだけはきっぱり言える。
「それなのに側にいるわけ?」
いや、だからって嫌いじゃないし。
とても大事には思っているけどね。
「ふぅん?」
「納得できないんだ?」
「前の世界でもアンタたち仲良かったし・・・」
「それとこれとは違うだろ?」
「・・・どういうことよ。」
「今の綾波はあの綾波じゃない。」
もう、二度と会えない。
アスカとは違うんだよな。
それに。
綾波はあの時に死んでしまったのだから。
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