さて、さっさとこの使徒を片付けちゃうか。
「アスカ、使徒はこのまま抑えとくから綾波を。」
「それはいいんだけど、アンタならこのまま使徒を引っ張り出せんじゃないの?」
「無理じゃないかな?」
 できれば楽なんだけど。
「侵食ってことはほとんど同化しちゃってるわけだし・・・」
 強引にやったら零号機の体が裂けそうで怖いんだよね。
 そうなったら綾波にもかなりの影響が出そうだし。
「ふぅん?で、いまさらアレだけど何でアンタは平気なわけ?」
「さっきも言ったろ?誰かと溶け合うつもりなんてないって。」
「精神論ですべて片付くんなら誰も困んないわよね。」
 まぁ、一般的にはそうなんだけど。
「ATフィールドに関してはそれでいいんじゃない?もともとなんだかよく分かってないものなんだしさ。」
「ま、それもそう・・・って、ATフィールドで侵食防いでるわけ?」
「そうだよ?」
 当たり前じゃないか。
 そもそもATフィールドっていうのは自分と他人を分かつための壁なんだから。
「なんかだんだんアンタも無茶な世界に入ってるわねぇ・・・」
 失敬な。
 人を人外魔境みたいに。
「それより早く綾波を。」
「分かってるって。」
 そう言いながらエントリープラグのとこの装甲を引き剥がす。
「にしても、それなら納得いくわ。アンタのATフィールドって無駄に強いし。」
 なんか、はしばしに引っかかるものを感じつつ。
「もっとも、この場合ほかの要因もあるんだよね・・・」
「どういうことよ?」
「綾波は自分が薄いから・・・」
「余計わかんないんだけど。」
 ってこんなこと話してる場合じゃないんだってば。
「後で話すよ、それより・・・」
「分かってるってば、こっちの準備はオッケーよ。」
 よし。
「綾波、悪いけど自爆スイッチを押してくれない?あとのことはこっちでやるから。」
「・・・まって。」
「綾波?」
「碇君は・・・どうして・・・ここまで・・・してくれるの?」
 ・・・まだこんな事言ってるし。
「綾波のことが好きだからだよ。」
 なぜかするっとそんな言葉が出た。
「・・・?」
「だから、綾波にいてほしいんだ。それだけだよ。」
「わたしには代わりが・・・」
 さえぎるように叫ぶ。
「そんなのいない!・・・いないんだよ。」
 死んだらおしまいなんだ。
 何もかも。
「・・・泣いて・・・いるの?」
「そんなことより、早くっ。」
 僕の声を聞いてるのか聞いていないのか。
「わたしは・・・わたし・・・そう・・・そうなのね。」
 綾波が途切れ途切れにそんな言葉をつぶやいた直後。
『侵食が止まりました!』
 そんな報告が。
『な、どういうことだ?』
『わかりま・・・待ってください、侵食率が減少していきます!』
「ちょ・・・どういうことよ?」
「僕にも分からないよっ。」
 いったい何が起こってるんだ?
『これは・・・使徒が零号機からはじき出されています!』
 な?
「わたしは・・・あなたじゃ・・・・・・ない。」
 そんなつぶやき。
 綾波が・・・やってるのか?
 でもどうして?
 何があったっていうんだ。
 と、零号機の両腕が使徒の体を握り締め。
 一気に引きずり出した。
 瞬間。
 無意識に僕が放ったATフィールドの刃が。
 使徒をあっさりと寸断した。


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